溝田明さんにインタビュー(Volume46)

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     情熱インタビュー46人目は、株式会社デザインエイエム代表取締役の溝田明さんです。子供のころから絵や工作が大好きだった溝田さんが選んだ道は、やはりデザインの道。起業・独立をされ、大きな商業施設などからも特命で注文を受けるほどの会社に成長。しかし、仕事だけではなく社会貢献の一環として、小学校や福祉施設へも訪問され、ロゴやデザインで楽しんでもらう企画を実行されています。溝田さんとデザインエイエムがお客さまから選ばれる理由がこのインタビューで分かりました!

     

    −この道に入るきっかけについて聴かせて頂けますか?

    子供のころから絵を描くことが好きだったんです。小学生のころから友達や先生から絵を褒めてもらえたことがきっかけでしょうか。コンクールなどにも学校で出展してくれて賞もたくさんとったりしていたことも自信につながったと思います。

     

    −絵が得意な少年時代だったのですね。

    はい。図工と体育だけは得意でしたね。

     

    −では小学生ぐらいの頃から、職業として今の仕事を意識し始めたのですか?

    いえ、デザイナーという職業があるということを知ったのはずっと後になってからですね。私は瀬戸内海の島育で、海と山しかないような大自然の中で育ちました。そんな田舎にデザイナーなんているはずもなく(笑)、デザイナーという職業が何なのかはよくわかっていなかったんです。中学生になった頃に、先生たちから『デザイナーになったら!?』って言われることが多くなり、その辺でしょうかね!?意識し始めたのは。

     

    −先生たちと言うと一人ではないんですね?

    美術の先生の他に、なぜか英語や保健の先生にも勧められました。

     

    −ではそこからデザイナーに向かってまっしぐらですか?

    いえいえ。高校時代にはそんなことも忘れてスポーツに明けくれてましたね。もともとスポーツは大好きだったのですが、高校の時はラグビーをやってて…。

     

    −絵が好きな少年のイメージから少しずれますね。

    はい。周りからもそう見られていたと思います。高校3年の大会で部活をやめると同時に、大学受験の準備のために本格的に美術関係の勉強を始めました。昨日までドロドロになってラグビーをやってたヤツが、急に美術室にこもってデッサンを始めたので、周りの友人からは驚かれましたね。

     

    −美術の大学に進まれたのですか?

    高知大学の教育学部の特設美術工芸課程と言うところに行きました。ここではたいていの人は美術の教師になる勉強をするんですね。でも、私はデザインを専攻していて、教師というよりデザイナーになりたいと思っていました。ただ、教育実習に行ったときには少し気持ちが揺らぎましたね。生徒たちって悪ぶっていても可愛いんですよね。教える楽しさも感じました。

     

    −でも結局、デザイナーへの道を進んだのですね。

    はい。卒業してから、3年間はデザイナーの修行のつもりで東京に出てきました。紹介してもらった小さなデザイン事務所に就職をしました。ゆくゆくは独立したいと思っていたのですが、その修行の3年の間に、自分がはたしてどれだけ東京で通用できるのかを試してみたくなりました。

     

    −その3年間はどんな仕事に従事したのですか?

    結局、3年ではなく10年もお世話になったんですけどね。デザイン業界って結構ルーズなんですよ。朝、出勤するとソファーの上に毛布があったり、机の上や本棚はごちゃごちゃだったり…。だからまず自主的に掃除から始めました。そうしないと仕事にならないような状態だったので。社長からは『おー、どんどん綺麗になるなー。』なんて他人事のように言われてましたけどね(笑)。

     

    −掃除からですか?

    はい。デザインと言うよりは、最初は特に雑用がほとんどだったと思います。

     

    −独立しようと思われたということですが、きっかけはどんなことだったのですか?

    まあ、家庭環境とかいろいろあるのですが、少しずつ仕事も面白くなってきて欲が出てきたというのもありますし、働いて4〜5年の頃には、将来は絶対独立して成功してやる!という夢を強くもっていましたね。

     

    −独立してまず何をされたのですか?

    今考えると、とても無謀だったのですが、独立と同時に結婚もしたんです。32歳の頃です。最初の数カ月は、仕事もないのに結構のんきに構えていまして、全く計画性がありませんでしたね。何とかなると思っていました。

     

    −そもそもお仕事ってどうやって取っていくのですか?

    以前のお付き合いなどから、声をかけて頂いたりしました。小さな仕事でも一生懸命こつこつやっていました。それがきっかけで、少しずつ自然に仕事が増えてきた感じなんです。面白いのは、私達がやった仕事自身がPRになることがあるんです。この仕事誰がやったの?って私達を探し当ててくれたり…。例えば、もう13年もブランディングなどのお手伝いをしている新宿パークタワーさんも、元々は私が携わっていたゲートシティ大崎という商業施設の仕事を見てくれて、どこがやっているの?と私達のところを探し当ててくれたんです。ちなみにゲートシティ大崎さんもいまだにずっとお手伝いさせてもらっています。

     

    −仕事が仕事を呼ぶのですね。

    その通りですね。それを考えると、目の前の仕事はきちんとしないといけないんです。仕事自身が強力な営業マンになるんですから。たとえそれが名刺一枚という小さな仕事であったとしても、ですね。

     

    −デザイン事務所の仕事って私は全く無知なのですが、成果品としてどのようなものがあるのですか?

    そうですね、例えば商業施設で言うと、『フロアガイド』や『サイン』『スクリーン』だったり『WEBサイト』、働いている人たちの『IDカード』のデザイン、『会社案内』『名刺』『封筒』だったり…、様々なデザイン制作物があります。そういったものの企画から設計、デザイン、ブランディングまでトータルでお手伝いすることが多いです。これらを、短期ではなく長期的に常にブラッシュアップしていくことが大切なんです。

     

    −長期的にですか?

    時々デザインやロゴを変えたりしますが、その時代の感覚に合わせていくことが必要です。

     

    −どんなお客様が多いのですか?

    さまざまなんですが、小さなバーやショップから、大手不動産会社の商業施設ビルを数多く手掛けたりしています。変わったところでは、海外の案件もちらほらあって、中国四川省の空港内に日本のお店を出すお手伝いをしたり、韓国のゴルフ場のブランディングにも関わったりしています。

     

    −幅広いんですね。

    はい。一般的な企業さんともたくさんのジャンルで関わっています。いろいろなご相談やご依頼をいただきますが、会社や商品のCI(コーポレートアイデンティティー)やVI(ビジュアルアイデンティティー)、ブランディングを得意としています。

     

    −大きな商業施設なども含めて幅広いお客さまからご支持を頂いていますが、何かコツはあるのですか?

    そうですね。やはり、一つ一つの仕事をきちんと丁寧に仕上げていくことに尽きると思っています。当たり前のことを、当たり前にやること…。何か特別なことをしているわけではないのですが、コンペでなく指名でお仕事を頂けているのは大変ありがたいですね。

     

    −当たり前の事例などがあれば聞かせて頂けますか?

    オオスミさんのところは、クレドとかつくりました?私達も『人柄クレド』を作って、例えば『良いクリエーターの前に、良い人間であれ!』なんて書いてトイレに貼っています(笑)。そこに書いているのは『あいさつ』のことであったり、『身だしなみ』や『気づかい』のことであったり、地味で当たり前のことばかりなんですよ。

     

    −クレドは自分自身のものは作りました。オオスミの営業グループでも作ってくれました。でもまだ全社への展開はできていません。溝田さんのように当たり前のことを当たり前にきちんと行動している会社って素晴らしいと思います。

    クリエーターやデザイナーって、いきなりパソコンに向かって何かを作りたがるんです。でもそれ以前にちゃんとしなければならないことがたくさんあって。机やパソコンに向かう前に、その前のコミュニケーションが必要なんです。私達の仕事自体が『ビジュアル(非言語)コミュニケーション』ですから、例えばあいさつをおろそかにして、いいデザインなんてできるわけがない。ちょっと堅いですか?(笑)

     

     

    −コミュニケーションは大切ですよね。

    はい。大切な誰かに会う時に爪が伸びていたり、汚れた服でもいいなんてあり得ませんよね!?

     

    −私はデザインの業界のことはよくわかりませんが、なんとなく『夜中に働く』みたいなイメージがありますよね。業界用語をバリバリつかって…、どちらかと言うと不健康なイメージが(笑)あ、すみません。

    ちょっと前まで結構そういうイメージがありましたよね。朝遅く、昼前にようやく出勤してきて、TシャツとGパンで良くって、夜中の2時、3時まで働く。それが格好いいというような風潮にあったと思います。変な風潮ですよね。納期だって守らない。でもそういうのが好きじゃなくて、本来ビジネスにおける当たり前のことをきちんと当たり前にやるデザイン事務所にしたかったんです。

     

    −ありがとうございます。当たり前の意味が良くわかりました。分かってはいても行動できないでは意味がないですよね。私も反省しながら頑張ります。さて、少し話題は変わりますがボランティア活動などにも力を入れられていますよね。

    はい。通常私達はB2Bの仕事が多いのですが、個人向けのサービスを考えてみようと思い、『マイシンボル』という個人向けロゴサービスを随分前に始めたんです。社会貢献活動もできればとちょうど思っていたので、地元渋谷区の神南小学校や、村尾隆介さんに紹介頂いた千葉にあるデイケアセンターでロゴづくりワークショップをやってみたんです。

     

    −反応はどうでしたか?

    デザインしてもらったロゴを缶バッヂにして持って帰ってもらったのですが、とても喜んでくれました。最初は高齢のおじいちゃんやおばあちゃんに受け入れてもらえるだろうか?と少し不安な部分はありましたが、終わってみれば、私達のロゴ作りワークショップは、スタンディング・オベーションを頂きましたよ(笑)。後で館長さんから聞くと施設を4年やっていて、スタンディング・オベーションなんて初めてのことだったそうです。

     

    −素晴らしいですね!おじいちゃん達にスタンディング・オベーションをもらうなんて!

    帰る時には三三七拍子もしてくれました(笑)本当にやってよかったと思いました。

     

    −おじいちゃん達とのロゴ作りは、どのように取り組まれたのでしょうか?

    厳しい時代を乗り越えてこられた人生の先輩たちですから、まずその先輩たちに敬意を払いたいと思いました。そして、若かった頃をちょっとだけ思い出したり懐かしがったりできるといいなと思って内容を考えてみました。彼らが30代、40代の頃の慣れ親しんだ当時のマークやデザインを思い出してもらったり。ただ、いきなり絵を描くのは大変なので、いくつかのモチーフから選んでもらえるようなツールを用意したり、組み合わせていくと簡単に仕上がるような仕組みづくりもしました。でも中にはこだわりのある方もいらっしゃって、自身の家紋をアレンジしてロゴを作ってくれたり、楽しい時間を過ごしてもらえたようでした。

     

    −小学生はどうでしたか?

    びっくりしたのですが、思った以上に発想が豊かなんです。頭が柔らかく、アイデアも合って、下手なデザイナーよりセンスがありますよ(笑)ツールはむしろ用意しなかったのですが、少し引き出してあげると、どんどん自由に取りかかるんですね。最初にナイキのマークや、ミッキーやディズニーのマーク、国旗など、それぞれ親しみやすいマークを例に挙げて説明したりしました。みんな本当に上手でした。

     


     

    −将来はどんなことを目指していきたいですか?

    そうですね。デザインAMとして、自信をもって自分たちが関わったという証を残していきたいですね。子供たちに自慢ができる仕事にしたいんです。決してきらびやかなものだったり、特別な賞を取ったりということではなく、しっかりとしたもの作りをして、残せるものを創っていきたいと思っています。

     

    『この仕事はデザインAMがやったんだよね。』って認めてもらえるものを、1つでも2つでも作りたい。デザイナー溝田というよりは、『仕事』自身が残ってくれるようなものを作りたいですね。

     

    −最後の質問ですが、最近の作品で何か思い出になるものはありますか?

    数年前に、母校の小学校の校章を手掛けさせてもらいました。3校が1校に統合される際、中学時代にお世話になった先生から声をかけていただきました。「お金はあまりないけど100年残る仕事だよ」って(笑)。もちろん全力でお手伝いさせていただきましたよ。

     

     

    −とても素晴らしいお話をありがとうございました。

     

    【大角所感】

    当たり前のことを当たり前のようにする。口では簡単に誰もが言えることだと思いますが、これを実践すること、そしてメンバー全員で実現させることは決して簡単なことではないと思います。それを率先垂範される社長の溝田さんの強い思いを知ることができました。新入社員として入社したデザイン会社では、誰に指示されることもなく掃除を始めた溝田さん、時間を守り、きちんとした身なりでコツコツと仕事に取り掛かる姿が目に浮かぶようです。そして、パソコンに向かって何かデザインを作る前に、コミュニケーションが大切だと仰る意味も良く分かります。このような基本がしっかりとされているからこそ、お客さまも安心してお仕事を任せられるのですね。大変勉強になりました。本当にありがとうございます。



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